予選審査委員会において、神沼審査委員長から講評を頂きました。
各チームに通知される審査講評と合わせて、それぞれの作品作成に反映させてください。
予選審査で気づいたこと
全部門に共通している印象は「モノ造りへの思いが相手にどのように伝わるのか、思いを理解してもらうためにどのような工夫をしたのか」が見えてこないということでした。
毎年伝えているのですが、課題部門や自由部門では、「何故このアイデアを思いついたか」、「何を如何に調査分析したのか」、「どのような理論と技術を使って問題を解決するのか」、「どのような機能をどのレベルまで実現するのか」などの4つの観点について明確に解り易く述べて欲しいということです。競技においても、どのような手法を応用して問題を解決するのかの観点を明確にすることが重要です。
そこで応募作品に注目すると、「アイデア、機能、活用するアプリ、類似システムの比較、スケジュール、制作環境」などの項目を取り上げてはいるものの、総じて内容が薄いと感じました。もう少し丁寧に記述して欲しかったと思います。
さて、課題部門についてですが、「スポーツで切り拓く明るい社会」という1年目のテーマということもあって、アイデアをまとめるのに苦労した様子が窺えました。類似した発想、似たようなツールやアプリの活用が多いと感じました。4つの観点のうち、調査分析不足、背景にある理論の説明不足が目立ちました。実際、何らかの観点が欠落している作品が7割近くもあったことが気になりました。
一方で、4つの観点での説明を充たし、「完成度が期待できるという作品」も1割近くありました。これらは理論的にも、技術的にも実現可能性を裏づけるような説明がなされており、本選が楽しみです。
次に、自由部門に関してですが、昨年にくらべて応募作品が減少したことは残念でした。しかし、アイデアは課題部門よりも多様であるという印象を受けました。また、「問題状況の分析」、「問題解決の多様性」、「何をどこまで完成するのか」などの説明でも、システムの実現に向けた思いが伝わってきました。これらのアイデアが現実フィールドで実用されるシステムへと変換されることを期待しています。
競技部門では、与えられたルールに基づいて如何に問題を解釈し、戦略を立てるのかを説明することが求められていますが、この条件は概ね充たされていたと思います。ただし中には、少し物足りないと感ずる説明もありました。本選に進むためには、何らかの指摘または問い合わせがあるかと思いますが、その際には説明の見直しが必要になります。
具体的な内容については、試合の戦術に影響を及ぼすとまずいので、コメントは控えさせていただきます。本選ではどのような作戦で臨まれるのかが楽しみです。
最後に、本選まで3ヶ月余りになりましたが、アイデアが「輝く真珠」になることを楽しみにしています。
2016年6月25日
審査委員長 神沼靖子