第35回大会 課題部門テーマについて

テーマ 「ICTを活用した環境問題の解決」

 ここ数年、記録的な猛暑や暖冬が続いており、昨年は東京で22日間連続の猛暑日が続き過去最多の記録を更新しました。IPPC(国際気候変動に関する政府間パネル)によると、2030年には産業革命前と比べて、年平均気温が1.5度上昇すると報告されています(*1)。地球温暖化による気象変動は、記録的な集中豪雨、大型台風、冬においてはJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)による豪雪など、大きな災害をもたらしています。また、気温上昇に伴う海洋環境の変化により漁獲量が激減し、水産資源の枯渇も懸念されています(*2)。環境破壊や地球温暖化の影響は年々確実に深刻化しており、その影響が身近に感じられるようになってきました。環境問題は「待ったなし」で取り組まなければならない状況に至っています。

 そのような背景の下、政府は再生可能エネルギーの導入や省エネルギー技術の普及、炭素排出の削減など、環境に配慮した経済の発展に向けた取り組み(Green Transformation; GX)を重視しており、2050年までに温室効果ガス排出量を全体としてゼロの状態とするカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。このような活動を推進するためには強靭なデジタルインフラが必要とされており(*3)、ICTの活用が前提とされていることが分かります。

 一方で、政府、企業だけでなく、個人やコミュニティのレベルでもさまざまな環境問題に関する活動が重要です。たとえば、EV・自転車・公共交通機関の利用促進、各家庭や学校等における省エネ活動、食品ロスの削減、森林保護や植林活動、リサイクルや廃棄物の適切な処理などが代表的なものですが、環境問題への意識を高めるための教育や啓発も重要な取り組みでしょう。このような活動は、ICTを積極的に活用することでより効果的に実現できる可能性があります。

 第35回全国高専プログラミングコンテスト課題部門では、「ICTを活用した環境問題の解決」を目的とした作品を募集します。環境問題は、身近なことから社会全体に至ることまで幅広い問題が対象となります。高専生の独創的な発想が、持続可能な地球環境を実現するための一助となることを期待しています。


*1 環境省:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)サイクル
  https://www.env.go.jp/earth/ipcc/6th/index.html
*2 COOL CHOICE:秋冬の味覚に危機?地球温暖化の影響と“地産地消”という選択
  https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/weather/article03.html
*3 内閣官房他:2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
  https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210002/20230210002_1.pdf